実家が神戸市西区の西神中央エリアにある。
少なくとも月一回は帰り、年老いた両親に代わり、庭の芝刈り(高齢者には庭作業が厳しく、手入れが行き届かず、段々と雑草むしりになってきている。むかしはそれなりにきれいな芝の庭だったんだけどねぇ~)などを行っている。
神戸市営地下鉄の板宿駅から往復するのがいつものパターンなのだが、フト、自転車で帰ってみるか、と思い立った。
ロードバイクを買う前に、手持ちの自転車でちょっとした距離を走ってみるのも一興だ。
マンション住まいなので、折り畳み自転車を輪行袋に入れて、室内保管している。そのまま駅まで担いで行きゃ便利じゃないの。
さて、実家での作業を終えて一泊し、翌日ライド。実家からではなく、二駅電車に乗って、伊川谷駅から自宅までのルートを走ることにした。Googleマップで調べると、距離としては20km程度になる模様。
ロードに興味があるものの、そういえば生まれてこの方、自転車で「近所」以外に行ったことがない。お気軽小型自転車で、問題なく走り切れるものなのだろうか。多少心配。
▼使用する自転車はコレ
大阪の老舗自転車メーカー アサヒサイクル製 グラマラス206 チタンシルバー
アサヒサイクルはママチャリ・軽快車を中心に生産している大阪のメーカー。因みに、名前の似ている自転車販売チェーン店「サイクルベースASAHI」とは何の関係もなかったりする(紛らわしいねん)。
ぐわんと湾曲したフレームがお気に入り。色名でチタンとか謳っているが、もちろんチタン製なわけはなく、フツーにアルミ製。とはいえ、前後泥除け標準装備で、重量11㎏は、なかなか頑張っているといえるのではないか。輪行袋に入れれば、駅の階段を駆け上がれるヨ。
なお、なぜこのコースにしたのかというと、景色の急激な変化が面白いから。駅前にはのどかな田園風景が広がっている。しかし、目の前に見える山をちょこっとだけ登ると、いきなり街が開けるのが楽しい。以前から、たまに車で件の山坂を上るたびに、目の前の景色の変化に対して「極端すぎるやろ~」とツッコミを入れいてた。そこを自転車で通ってみたい。
さて、伊川谷駅からは歩道に乗ってスイスイ。田園地帯ゆえ、ほとんど人が歩いてないので、走りやすい。
「自転車は車道が原則、歩道は例外」と本格派の自転車乗りからの批判はあれど、幅広歩道は日本が営々と作り上げてきた社会インフラ。現にあるのだから使わない手はない。ロードだとこうはいかんだろうけど。
さて、目の前に件の坂が見えてきた。こんもりと樹木の生い茂る名もなき山をくねっとカーブしながら登る。
そして今日初めて自転車で登って気付いたのだが、わずかだが歩道がない場所がある。山上のメインストリートの終わりから降りてくる一本道なので、交通量は意外と多い。見通しも悪いし、ちょっと危険だね。
なんとか歩道にたどりつき、そして登ろうとするものの、これがキツイ。結構な勾配の途中からいきなり漕ぎ出す形になるので非常に難しい。そして、今更ながらだが、この自転車、のぼりには向いていないw
小径車なので、前かがみになれない。急こう配だと、前輪が浮き上がって後転しそうな怖さがある。プラペダルも頼りない。力を混めると、踏み抜いて壊れてしまいそうだ。結局、以前のプチ・ヒルクライムと同じく、押して上がる。
上がりきると、いきなり道幅が広がり、ついさきほどまでの田園、山林地帯の風景が一変し、目の前に市街地が広がる。
ここまでくると、後は楽だ。しばし直進すると、明石大橋の橋頭が見えてくる。ここから先は、ダラダラ下り坂が海まで連れていってくれる。
歩道が広くて走りやすい。周囲は昭和後期のニュータウンといった風情で、「団地」が立ち並ぶ。鉄道駅からかなり遠いこの地区に、これだけの人が住んでいるのがちょっと不思議。日本の人口が上り坂であったころの記憶が、ここにある。
途中、勾配が強めの下り坂があり、風を切って下ると実に気持ちいい。そのままするりんと、海岸エリアのJR朝霧の駅まで到着。
朝霧駅は切り立った丘の上にあり、その向こうには、眼下に海がどどんと広がっている。明らかに神戸有数の景観を誇る駅であり、もっと観光スポットになってもおかしくないと思うのだが、駅前はいたって地味。ちょっと不思議なエリアだ。
海を右手に眺めながら、丘上の道を走り、東に向かう。舞子を通りすぎる。このあたりから道路は海岸沿いの国道2号、通称2国(ニコク)に合流。海が近い。しばしレジャー色のある街並みが続く。
須磨海岸のあたりに到着すれば、もう帰ってきたようなもの。いつものランニングコース近辺だ。安心すると、腹が減った。独特のたたずまいで前から気になっている(でも入ったことがない)ピザ屋で昼食。
無事ゴールのご褒美として、本格ナポリ窯焼きのピザとアイスコーヒーを注文。うまい。
さて、帰宅後Googleマップで距離を測ると、約20km程度。折り畳み自転車で難なく走り切れてしまうもんなのだな。
町中短距離専用の自転車だと思っていたグラマラス206に意外なほどのポテンシャルを見出し、ちょっと感動したサイクリングの一日となった。