まったり巡行

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【まったり自転車】東京シェアサイクル

前から気になっていたシェアサイクル。このところ、中国での普及を伝える報道を目にするようになってはいたが、日本でも同様の試みがスタートしている。

地元神戸でも、また大阪でもすでにシェアサイクルのサービスは開始されているが、認知度は非常に低いように思う。都心部でごく限定的に試行されているレベルだからだろう。貸し出し・返却のポートが少なく、利便性が悪い。どちらかというと、観光客向けのサービスという気がする。

しかし、東京のシェアサイクルは違う。

「自転車シェアリング広域実験」と銘打ち、「東京都内7区(千代田区中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、渋谷区)において、7区すべてのポートで貸出・返却することが可能」と謳っている。

ポートも数えきれないくらいある。本気だ。

ここまでやらないと、地元の人がチョイ乗り、(目的地近辺でのポートでの)乗り捨てができる本当のシェアサイクルにならないと思う。

 

さて、今回の東京旅行(11月9日夜行~12日)では、2回利用した。

まずは11月11日(土)。新宿~秋葉原まで走ってみた。

かつての東京生活を懐かしく思いだしつつ新宿を散策。新宿2丁目付近のベローチェで、コーヒーとケーキを注文して一休み。その際にスマホをいじくり、シェアサイクルの会員登録を行った。会員登録からの流れで、深い考えもないまま、近場(歩いて10分ほど)のポートの自転車利用を申し込み。

すると、メールが届いた。「20分以内に利用を開始してください」と記載されている。

ええっ!?

結構あわただしいじゃないの。目的のポートは新宿御苑の大木戸門付近。せっかくのケーキをコーヒーで流し込み、あわてて向かう。

近くまで行ったのだが、ポートが見当たらない。ちょっと奥まったところにあるのを見つけた時には、制限時間ギリギリ。

なんとか無事開錠まで行うことができたので、さっそく出発!これに備えて、腕につけるバックミラーも用意してきたぜ!

そして、スタンドを跳ね上げてさっそうと漕ぎ出す・・はずが

重んも!

なにこれ。最初なにかまだロック箇所が残っているのかと思ってしまった。

とにかくクソ重い。優に20kg以上あるだろう。

粗雑に扱われても簡単に壊れないように、ひたすら頑丈な作りが激重の原因。前カゴなんてアイアンフェンスの製造に使いそうな鉄パイプ製だもんね。フレームのチューブも極厚なのだろう。さらには、バッテリー(電動アシスト自転車なのだ)、操作用のコンパネの重みも加わる。

 

なんとか漕ぎ出してみると、ペダルがガタガタしている。ブレーキの効きが悪いのにも驚いた。こわ。重量のせいで操作性も悪く、普段乗りしている自転車グラマラス206(11㎏、Vブレーキ)との違いに戸惑う。

なお、東京のシェアサイクルは、いわゆる自転車安全利用五則をホームページに掲げている。五則筆頭項目は『自転車は車道が基本、歩道は例外』。これで車道を走れというのか。

とはいえ、実際のところ東京都市部の歩道は人でいっぱい。たしかに車道を走るしかないようだ。しかたない、いくぞ!

 

とにかく重いので踏力を要するが(特に信号スタート時)、とりあえずは走る。電動を使う気はない。そしてスピードに乗ると意外と速い。

かつて東京に勤めていた時によく歩いた四谷~麹町のあたりを走る。懐かしいね~。土曜日のオフィス街は車は少なく、ビュンビュン飛ばせる!

面白がって、前を行くロードバイクを追い抜いたりしみたが、いかんいかん、この自転車、すぐには止まれないんだわ(ノーヘルだし、危ない。調子に乗ったらイカン)。

 

新宿からアキバ。東京に住んでいたころは電車で移動するものだと思っていたが、自転車でもスルッと行けてしまう距離なんだ。

ただ、間の悪いことにスマホが電池切れ。土地勘があるため、返却予定のポートの位置は最初から頭に入れておけたが、そうでなければ戸惑っただろうね。スマホ前提のサービスといえそうだ。

ポートエリアに並んだスタンドに前輪を入れて、自転車のコンパネのEnterボタンを押せば施錠され、利用が終了。簡単だ。

 

さて、翌日の11月12日(日)にもシェアサイクルを利用。今度は高輪~神保町間を走ってみた。

車道走行も慣れて、コツもわかってきた。東京も路上駐車が多いが、片側2~3車線の道路だと、歩道横は路駐だらけなので、走行中の車はほとんど入ってこない。このレーンは自転車と路駐のためにある。まさに「路駐は友達」。

 

皇居近辺にさしかかると、パレスサイクリングが開催されていた。歩行者天国ならぬ、「自転車天国」ともいうべきこのイベント、名前だけは知っていた。さわりだけでもコースを走れて満足。

 

その後、神保町に出る。靖国通りに面したクロサワ楽器裏にあるポートに自転車を返却。

 

このあたり言わずと知れた学生街。安くチョイ乗りできるシェアサイクルは需要が高いのか、広いポートエリアには自転車は1台もなかった。シェアサイクルの業務用トラックがそばに止めてあったので、返却が多いポートからここに回収してくるんだろうね。

 

おそらく回収トラックがルートを回って、各ポートの自転車数を調整するのだろうけど、たったそれだけのことで、これほど多くのユーザーが安価に利便性を享受できるわけだ。(儲けを追求する事業ではないのだろうが)運営を継続するための、幾分かの収益さえ安定確保できるのであれば、良い試みだと思う。


さて、シェアサイクルが増加しても、「マイ自転車」の需要は大きく影響は受けないであろう。シェアサイクルはその性質上、快適性・操作性を大きく犠牲にしなければいけない宿命にある。

やはり利用者当人のものでない以上、粗雑に扱われる可能性がある。そのため頑丈性が最優先。すると、スポーツバイクのような軽量・軽快な自転車を用意することは難しい。しっかりとした整備も期待できない。私が体験したような「ペダルがガタガタ」なんてこともありうる。用途としては、イレギュラなチョイ乗り、近距離移動が中心となるのではないか。安定した快適性・機能が求められる通勤、通学、あるいはレジャーとしてのサイクリングには不向きといえる。

 

シェアサイクルが手近にあれば、たしかに便利。観光客にとってもうれしいサービスだ。ただ、地下鉄やバスから客を奪ってるだけのような気もする。自動車ユーザー層へのアピールも限定的だろう。事業としてそれほど儲かるともおもえず、「何を目的としたサービスなのか」ということが最終的には問われてくるかな、という気がした。

 

今後の「広域実験」のゆくえや、いかに。

 

▼初めて利用して、その重さに驚いたシェアサイクル。乗ったことはないのだが、地元神戸のシェアサイクル(こうべリンクル 略称「コベリン」というらしい)も同じ型の自転車かな?

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