昔、尼崎市の武庫之荘近辺に住んでいたことある名残で、今でも時々、武庫之荘・塚口近辺に出かけることがある。
近隣のJR立花駅を通りがかることもある。
そのたびに気になっていたカレー屋さんがある。その名は「よこづち屋」。
しかし、このエリアで昼飯時を迎えた場合、つい、阪神地域のカレー界の巨星、お気に入りの塚口「アングル」に足を延ばしてしまう。そのため、気にしつつも、いつも通りすぎていた。
これまでスルーしてきた原因は、それだけではない。
グルメサイト等によると、相当独特のカレーを出すらしい。
「食べ手を選ぶ」「苦手」「漢方薬みたい」などの感想が並んでいる。
あからさまに低い星評価を付けているレビュアーも見かける。
そうなると、余計に気になる。どんなカレーなんだ?
しかし、その興味とは裏腹に、余計に足はアングルに向かってしまうんだがw
ところが、本日はたまたま、立花駅近辺で昼飯時を迎えた。
しっかりハラも減っているので、これなら少々変わり種のカレーでも食べきれるだろう。
そう思い、お店のドアをくぐった。
中は、J字型のカウンターテーブルのみ。10席程度だろうか。ワイルドな香辛料の匂いが強く漂う。
とりあえず、無難と思われるビーフカレーを注文する。
カレーはすぐに出てきた。
ターメリックライス。ルーの中に、小ぶりな肉が4~5片といったところだ。
スプーンを手に取ろうとして驚いた。ルーの中に埋没しているスプーンが、はっきりと透けて見える。
「これは、サラサラ系カレーだな」と思いすくってみると、サラサラを通り越してシャバシャバだ。
その中に、曳きこんだスパイスの、ザラッとした舌触りが時折感じられる。
シャバシャバの中に、スパイスが無骨に溶け込んでいる感じ。漢方薬を思わせる苦味もある。
なにより、一般的なカレーが追求してやまない「コク」に背を向けている。
肉も脂身なし。やたらストイックで個性的なカレーだ。
音楽に例えれば、前衛音楽だ。
一種の薬膳カレーと捉えればよいだろうか。
テーブルに置かれた付け合わせが、大根の桜漬というのも独特だな。ただ、このカレーには不思議と合ってる。
ネット上のレビューには「たまに無性に食べたくなる」といった記述があるが、たしかにシャバシャバ香辛料の中には、そんな魔力が潜んでいるような気がしなくもない。
そんなカレーがあってもいいじゃないか、と考えているうちに、あっさり完食していた。