落車でケガしたからといった、田舎道の傍らにずっと座っているわけにもいかない。
気になる切り傷の状態を見る。出血は一応止まった・・かな。とりあえず、進もう。
負傷の痛みもさることながら、「ロードで自歩道を走っていて、落車してケガ」という情けなさからくる心理的ダメージが大きい。テンションが一気に下がってしまった。
疲れがどっと出て、速度が落ちる。ホテホテとクランクを回す。
次の町である福知山が、遠い。
ちょっとしたアップダウンを幾つもこなし、坂を下った先で、ふいに市街が開けた。
ようやく街に出た。福知山到着。
本来であれば、福知山で昼飯の予定であった。チェックしていたカレー店もあった。
しかし、落車での時間ロスと、その後のスローペースで、予定よりも時間が押している。ゆっくりしている時間はない。カレーをあきらめる。
福知山は京都北部の中核都市であり、複数の国道が集結。さすがに交通量は多い。慎重に進む。
街はずれのドラッグストアに立ち寄り、大きな絆創膏を購入。切り傷のキズテープ上から、さらに上貼り。これでより安心だ。
ついでに安い総菜パンも一つ購入。広い駐車場の隅でモソモソ食べる。全然旨くない。わびしい昼飯だなあ。カレー食べたかったなあ・・。一層気分が落ち込む。
時刻はまだ1時半。舞鶴までは40㎞。しかし、今の私には遠い。
駐車場から眺める国道は、結構ダンプ道だ。大丈夫かなあ。
「ここから先の山間部は道路状態が悪いんじゃないの?」
「昼の短い季節だし、時間がかかって、山の中で日が暮れたら困るよな」
「ケガのアクシデントもあったことだし、今日のライドは福知山でうちきろうかな」
心は逡巡。行こか止めよか。
とはいえ、ここまで来たんだし。もうちょっと行ってみるか。
もし、道路事情に危険を感じたら、即引き返そう。そう決めて再びペダルに足をかける。
そして、福知山郊外から北に向かうと、重複していた国道9号が東へ去り、そして、長々重複していた国道176号とも枝分かれするにつれ、交通量は減ってきた。
路側帯は、やはりコンクリ路肩分の幅しかないことが多い。しかしながら、丹波エリアと同じく、自歩道が思いのほか整備されている。
人里離れた田舎道も、延々自歩道が続く。それなのに、歩いている人が驚くほど少ない。
福知山より先、舞鶴に差し掛かるまでの区間、見かけた歩行者の数は5人もいなかったと思う。
これはほとんどサイクリングロードと言ってよかろう。そう考えて、自歩道に乗る。
とはいえ、自歩道には独自の危険要素が潜んでいることは、先ほど身をもって知ったばかりだ。これ以上の失敗は許されない。
まわりの風景を楽しみつつも、しっかり前に注意を向けて、マイペース走行。
途中見つけたコンビニで小休止。
延々、ゆるゆるとペダルを踏み続け、ようやく舞鶴市に入った。
交差点を右に折れ、橋をわたる。
舞鶴市街への最後の試練、ダラ丘越え。
ようやく舞鶴市街にたどり着いた時にはホッとした。
しかし、舞鶴市街は、五老岳の山塊により西舞鶴と東舞鶴に分断されている。
元城下町で観光施設もある西舞鶴には、以前日帰り旅行で来たことがある。どうせなら、未知の東舞鶴まで行ってみよう。
そう考えて東へと向かうと、再びダラ丘越えとトンネルが待っていた。まだ試練が残っていたか・・
陰気なトンネルを抜けて、坂を下ると、再び広がる市街。いよいよ東舞鶴に入った。
坂を下ったところで、忘れちゃいけない本日の宿の確保。スマホでポチっと当日予約完了。便利なもんだ(予約よりもちょっと高くつくけど、たどり着く確証のない自転車旅では重宝)。
そして、夕闇迫る中、とうとう舞鶴湾に面した公園に到着。
暮れゆく海を眺めつつ、ゴールの記念撮影。道中問題はあったが、とにもかくにも走り切った。
さて、先ほど予約したホテルは、ここからすぐ近くだ。そのため、自転車はここで輪行袋に入れよう。
晩秋の日はつるべ落とし。
その作業中に、あたりはとっぷりと夜のとばりにつつまれてしまった。
(本編おわり オマケ記事につづく)
【まったり自転車】 国道175号完全走破(全3回) <乗り日:2021年11月21日(土)~22日(日)> |
Part1: そして私は丹波で飛んだ |
Part2: 逡巡の山間路、舞鶴の夕暮れ ★このページ★ |
Part3: 完走翌日のオマケ的ライドで良い景色に出会う |