春のおとずれ、ぽかぽか陽気。
青空のもと、シェア自転車に乗って、武庫之荘から西宮方面へと向かう。
その西宮北口の中心街にほど近い、商店と民家が入り混じるあたりに、ごくひっそりとそのカレー店はあった。
その名を「貧頭(ヒンズー)カレー」という。
インドぽい、そしてちょっと諧謔味のある店名が前から気になっていた。
実際に訪れるのは、今回が初めて。
お昼にはやや早い時間帯。しかし、入口のドアは開け放たれていた。
シェア自転車を付近に駐輪し、お店に入る。
中はカウンターテーブルと、二人掛けの小さなテーブル席が2つあるのみ。全部で10席ほどだろうか。
とりあえずカウンターテーブルにつくが、お店の人がいない。
奥に向かって「すみませ~ん」と呼びかけると、マスターが出てきてくれた。
筆頭メニューの「貧頭カレー」を注文。
すると、テーブル上にスプーン、フォークに、ナイフが並べられた。
なぜナイフ・・?
と思ったが、出てきたカレーを見てナットク。
ルーの真中に、肉のカタマリが一つ、ゴロリと転がっている。
なるほど、この肉は一口で食べられるものではない。
そこで、まず、肉をフォークとナイフを使って小さく切り分ける。
切り終わると、カウンター内のマスターがすかさず「(ナイフを)もらいますね~」。ここでナイフはお役御免。
さてと、いよいよカレーを一口。
口に入れた瞬間、複雑なスパイスの風味が鼻に抜ける。
辛い、というわけではない。
しかし、スパイシー。
ほろ苦な味わいが舌に色濃く残る。
ほほう、これは薬膳系か。
特段「薬膳カレー」とは謳っていない?ようだが、完全にそちらのイメージ。
ちなみに、副菜のカップスープも、コンソメのような、わかめスープのような、しかし薬膳ぽい味わい。
噛みでのある肉をおり交ぜつつ、食べ進める。
アジアン、エスニックという言葉が良く似合う。
こういうインパクトのある個性的な一皿に出会えるのも、カレー探訪の楽しみだ。