所用あり、仕事は休みを頂いた金曜日。
用事を済ませたあと、昼過ぎに板宿の町に立ち寄った。
ハラも減ったし、どこでカレーでも食よう。
スマホを取り出し、GoogleMapで「カレー」と検索したところ、気になるお店がヒットした。
その名を「くるみ家」という。
このあたりでは知られた、人気うどん店だ。
実はこれまでも何度か、くるみ家へと足を運んだことがある。しかし、毎回、お店の前の待ち列を目にして、あきらめて踵を返してきた(←並んでまで食べないタイプ)。
しかし、これまであきらめてきたのは、土日の昼時の話。
今日は平日、しかも時刻は13時過ぎ。これはチャンスではなかろうか。
東京や大阪のような大都会ど真ん中ならいざ知らず、ここは板宿だ。われらが神戸市須磨区の中心的な町ではあるが、まさか平日のランチ時間外まで行列はできていなかろう。
そのことに思い至り、いそいそとくるみ家に向かう。
果たして、その読みは正しく、待つことなく入店することができた。
中に入ると、木の質感あふれる、昭和レトロなインテリア風景に圧倒された。
壁から、床から、テーブルまで、重厚感と生活感が共存した木製である。
「ウッディ」とかの横文字ではなく、「木造」といったほうがしっくりくる。郷愁が店内に漂っている。
案内された、カウンターのすみっこ席につき、メニューを眺める。
もちろん普通のうどんもおいしいのだろうが、すでにこちらの頭と胃袋が「カレー」にセットされてしまっている。ここはカレーうどんで行くべきであろう。
そして幸いなことに、カレーうどんはお店の推しメニューでもある。
店名が冠された「くるみ家カレーうどん」を注文する。
懐かしさを感じさせる店内を眺めつつ、待つことしばし。
「辛さ控え目になってますので、辛さは七味で調整してください」との案内とともに、配膳されたカレーうどんがこちら。
素焼きされた野菜の数々が、丼の中にちりばめられている。
なんというオリジナリティ、そしてゴージャス感。
野菜は好きなので、一気にテンションが上がる。
まずはうどんを一口。
ほほう、つややかでありつつ、もっちりした食感。すばらしい。
そしてカレーつゆは、辛さはほとんど感じない。
確かにカレーではあるが、尖ったスパイシーさはみじんもない。
ダシとカレーが合わさったエグみもない。
ゆるふわな印象のカレーつゆだ。
そして、それがうどんに合う。さらに色とりどりの野菜にも合う。
サッと焼かれたごぼうにも、ニンジンにも、ブロッコリーにも、しっかりマッチする。
ラディッシュなどはもちろん中まで火が通るわけもなく、ほぼ生なのだが、ガリっとかじるワイルド感がいい。
その中にちりばめられたひき肉が、いいアクセントになっている。
まぎれもなくカレーうどんでありつつ、同時に、ほとんど野菜サラダ。
なんというオリジナリティ。
つるつる、シャクシャク、夢中で平らげてしまった。
唯一無二、板宿名物と言っても良いカレーうどんであった。