その日曜日、とある買い物のため、地下鉄中央市場前にある「イオンモール神戸南」に出向くことになった。
自宅からはせいぜい5~6㎞の距離。地下鉄ではなく、自転車で行こう。
中央市場前へは、和田岬をカーブしながら貫く高松線を伝って行けばよい。途中からだが自転車レーンもあるので、走りやすい。
午前中に、折りたたみ小径車に乗って出発。ライドというほどの距離ではなく、単なる日常の買い物。気楽に出かけた。
しかし、この往復10㎞余りを走る間に、(やや大げさにとらえれば)なんと4回のヒヤリハットに遭遇することになった。
各ヒヤリハット事案の詳細は以下の通り。
【事案1】
自宅からしばらくは自転車歩行者道を徐行。青信号に従って横断歩道をゆっくり渡ったところ、交差点の車道中央で右折の機会をうかがっていた車が急発進し、こちらに向かってきた。横断歩道前で一旦停止すると思いきや、直前まで減速せず。
すぐ近くまで迫ってきた車のドライバーと目が合った。結構高齢の女性であった。驚いた顔をして、目を見開いていた。驚くのはこっちやで~。
おそらく右折のタイミングを測ることだけに必死で、右折した先には全く注意が向いていなかったのだろう。
「高齢者ドライバーが増えると、こういうケース増えるかもな・・。注意しないと」そんなことを考えながら車輪をすすめた。
【事案2】
高松線の自転車レーンを進んでいたところ、交差点手前で、後ろから軽トラが急に追い越してきた。そして当方の手前で左折。軽トラはガードレールギリギリを曲がっていったので、内輪差で車体とのサンドイッチにされかねないところであった。
ただ、追い越された時点で危ない雰囲気を感じ、すぐさま減速ししていたので事なきを得た。
【事案3】
しばらく進むと、【事案2】と似たような状況がもう一度生じた(【事案2】ほど危険なタイミングではなかったが)。
【事案4】
帰途、【事案1】に似たシチュエーションがあった。今度は車ではなく、青信号で交差点の自転車レーン進んでいたところ、左折した原付が、私のすぐ近くまで迫ってからストップした(【事案1】ほどシビアな状況ではなかったが)。
短い距離を走るだけなのに、ヒヤリハット4件。多すぎだろ。
「たまたま」と言えばそうかもしれない。
ただ、その二日前の祝日にはロードでもっと長い距離を走っている。その際には一度も危険を感じることはなかった。
たまたまであったとしても、それを呼び寄せた原因のようなものがあるかもしれない・・そう考えなつつ自宅に向かっていた時に、ふと気がついた。
この時の私の服装が、ほぼ全身黒ずくめであることに。
まず、ボトムは、普段着調のサイクリングパンツ(裾が絞られた長ズボン的なもの)。まあ、これが黒なのはしかたがない。サイクリングウェアの下は、裾がチェーンと接することを考慮し、汚れの目立たない黒色のものが多いから。
ただ、トップも黒であった。職場に置いてあった黒い防寒作業ジャンパーがくたびれてきたので、自転車の普段乗りに良さそうと思い、新しいものと交換する形で持ち帰った。そのジャンパーが全くの黒であった。
さらに言えば、背負っていたバックパックはグレー、靴もグレー。
自転車は鈍い色のシルバー。遠目には、ほぼグレーだ。
これではさすがに目立たない。
ドライバーから見れば、私の姿はアスファルトの路面に溶け込んで見えたのではないか。
もちろん見えてはいただろうが、視覚的に注意をひかない存在になっていたのかもしれない。
唯一、ヘルメット(正確にはヘルメット型カスク)だけは白色であった。
しかし、考えてみればアスファルトの路面の表示は黒字に白だ。黒主体+アクセントで白といった色の組み合わせでは、道路の上では意外と目を引かないのかも。
私は普段着として、俗に「都市迷彩」とも言われるような、町中・人ごみに溶け込む地味服を選ぶことが多い。
その伝で、自転車の普段乗りの際にも、路上で目立たない、言わば「道路迷彩」というべき服装を選んでしまっていたようだ。
自転車の普段乗りであっても、ロードに乗る時のように、もうすこし目立つ色合いを、意図して服装に取り入れたほうが良さそうだ。