その日曜日の午前中、スポーツイベント観戦の為、地下鉄沿線の「総合運動公園」駅方面に出向いた。
ついでに、行きしなに一駅手前の「名谷駅」に立ち寄った。
名谷駅に来るのはずいぶん久々。数年ぶりだ。
神戸市営地下鉄が西神中央方面に延伸されるまでは、名谷駅は終着駅であった。
それゆえ、駅周辺は計画的に整備されており、複合商業施設の「須磨パティオ」に直結している。
その須磨パティオ。
私にとっては、懐かしい名前だ。
神戸市の西部では老舗のショッピングモール。
その名の通りパティオ(中庭)があり、それを囲む形でデパート、スーパー、そして専門店街の棟が立ち並ぶ。
子供のころ、時々母親に連れられて訪れた記憶がある。
昭和後期だと、まだこういう大型商業施設は比較的珍しく、建物内部の吹き抜けスペース、そこに設置されたからくり時計の塔が、当時の私にはまぶしく見えた。
最近では駅・須磨パティオともにリニューアルがすすんだが、建物の大枠に変化はなく、今訪れても、当時の面影は色濃く感じる。
かつての記憶を思い出しつつ、須磨パティオの各棟をゆるゆる歩く。
すると、「ピクニックダイニング」と称するフードコートに行き当たった。
時刻は午前11時過ぎ。昼飯には少々早いが、イベント開始の時間を勘案し、ここで食べていくことにした。
かつてはフードコートと言えば、数百円で食べられる軽食が多かったが、最近では専門店化が進んでいる。
このフードコートもそうで、お店を一通り眺めたところ、メニュー単価も千円近くはざらにある。ものによってはそれ以上だ。
さて、そんな中、カレー店を発見。「スマイルカレー」という。よし、今日のランチはここできまりだ。

メニューの筆頭を見ると、カツカレーだ。迷わず、カツカレーを注文。
お値段は税込980円。
カツカレーとしてはリーズナブル価格。今や「フードコート=安い」ではないことを実感。
カウンターでお会計を済ませて、引き換えに呼び出しブザーを渡される。このへんは、やはりフードコートだ。
席で待つことしばし、ブザーが鳴動。再びお店のカウンターに出向き、カレーを引き取る。
カウンター上にはセルフサービス用の福神漬けと、スパイスオイルの容器が置いてある。福神漬けをたっぷり、一応スパイスオイルも少しかける。

見た目はシンプルで、スタンダードなビジュアルのカツカレーだ。
まずはスパイスオイルのかかっていない部分ルーとごはんで一口。
欧風カレーらしい、まったりした甘さが最初に来る。
しかし、すぐに辛味が追っかけてきて、意外とスパイシー。
万人向けの範囲内だが、その中では辛味重視、といった感じ。
カツは厚すぎず、薄すぎず。肉厚5ミリほど。
カツカレーというと、肉厚を売りにするお店もあれば、逆に薄くてサックリした食感が特徴のお店もある。
でも、こういうちょうどいい厚みのカツは、普遍的なおいしさがある。
辛味オイルの部分のルーは、さらにスパイシー。辛口カレーだ。これはこれでおいしい。
以外と言ってはなんだが、意外と本格的なカレー。昨今のフードコートの変遷と進化を感じさせる一皿であった。