その朝、私はロードバイクに乗り、須磨多聞線のダラ坂を上っていた。
その途中にある「TerrasMa(テラスマ)」というショッピングモールの横を通り過ぎる際、道路側に向かって設置された店舗紹介の看板に「セルフ」「うどん」の文字を見かけた。
あれ?テラスマにセルフうどん店なんて、あったんだ。
このことを記憶にとどめつつ、ひとまずその場を通り過ぎた。
その後、名谷とその周辺を適当に走る。そして、帰途、そのうどん店に立ち寄ることにした。
駐輪場に自転車を停めて、お店に向かう。
お店の看板を見ると「淡路岩屋 嘉兵衛うどん製麺」とある。
ほほう、淡路島系ってか。
以前このブログで取り上げた、伊川谷の「うどん工房淡家」といい、淡路系が今、セルフうどん界で勢力を高めつつあるのだろうか・・
そんなことを考えつつ、お店に入ったのが正午ごろ。
店内掲示のメニューを眺める。かけうどん+天ぷらの王道でいこうか、それともカレーうどんにしようか、迷っていると「名物」と付記された「肉ぼっかけカレーうどん」が目についた。
「ぼっかけ」というのは、牛筋とこんにゃくを甘辛く煮詰めた、神戸は長田界隈のソウルフード。カレーにもよく合う。
ただ、価格が気になる。
並で890円。セルフ店の値段ではないよな。それだけの価値があるということだろうか。
期待していた割には、受け渡しカウンターに出てきたのは、一見、フツーのカレーうどん。
この時点では、ちょっと肩透かしを感じた。
とりあえず支払いを済ませて、セルフコーナーに向かう。すると、定番のネギ、天かすに加えて、わかめまで置いてあるぞ。これはうれしい。すべて、うどんに投入。
え、わかめがカレーに合うのかって?
これが意外と合うのだ。三宮のカレー専門店の中には「わかめカレー」をメニューに揃えているお店だって存在するくらいだ。
席について、さて食べよう。
まずは、カレーつゆを一口。
うむ、くせのない、おだやかな味。
万人向け、期待を裏切らないカレーうどんの味わいだ。
うどんは、もっちり系。
讃岐系に多いかっちりとしたコシがあるタイプとも、関西系のやわらかうどんとも、ちょい違う印象だ。
しっかり煮込まれた、味のしみこんだ牛筋とこんにゃくが、いい味出している。
食べ進めるうちに、褐色のつゆの中に、ぼっかけ牛筋肉が、思いのほかたくさん隠れていたことに気がついた。
どんぶりの奥底からどんどん出てくるぞ。これは想像以上の肉ボリュームだ。
これなら確かに、お値段なりの価値はあるわ~。
さらに、食べていくと、ぼっかけ牛筋からうまみがにじみ出て、そこに天かすがまじりあい、カレーつゆはトロトロと各段に美味しくなっていった。
お店の名物を謳い、推すだけのことはある一杯であった。
また、食べに来よう。