父死去に伴う各種手続きのため、当人の戸籍謄本等の書類が必要となった。
その本籍地は姫路市。郵送でも取り寄せられるが、窓口でいくつか確認したい点があり、休暇をとって、姫路市役所まで出向くことにした。
ついでに、墓前報告を兼ねた墓参りもしよう。
そう考えて、平日の金曜日、輪行袋に入れた折りたたみ自転車を携え、新快速で姫路に向かった。
到着後、輪行解除した自転車に乗って、姫路城方面に向かう。市役所は午後に訪問するとして、まずはお城付近にある父方の墓にお参り。
その後、安藤忠雄建築で知られる「姫路文学館」という小ぶりな博物館を訪ねて、昼飯に向けて時間を調整。
そして、前から目を付けていたカレー店「大衆カレー たかや」に向かった。
今回の姫路行、戸籍謄本取得が表の目的とすれば、実は「たかや」のカレーが裏目的だ。
かれこれ2~3年前だろうか、姫路のカレーをネット検索した際、アルミ製の船皿に盛られたこのお店のカツカレーが目に留まり、おいしそうで、ずっと気になっていた。
GoogleMapの情報によれば木・日曜が定休日とあるので、これまで土曜日に姫路に赴いた際に、お店を訪れたことが2度ほどある。しかし、いつも「たかや」は閉まっていた。なぜだ。
「実際には土曜日も営業していないことが多いのかな~?」そんな風に考え、このお店のカレーを味わうことはあきらめかけていた。
しかし、今回の姫路訪問は金曜平日だ。そのランチタイムに訪問すれば、きっと営業していることだろう。
時は来た!それだけだ
さて、この週末は今年一番の寒波到来の時期。曇天からは時折小雪が舞い落ちる。そんな厳寒の中、姫路の中心街から結構離れた場所にあるお店まで、自転車を漕いで赴く。「今日こそは営業していくれよ」と願いながら。
サムイサムイとつぶやきつつ、お店に到着すると・・果たして、お店は営業していた。よっしゃ~!

広い駐車場の脇に自転車を停め、いそいそと入口に向かう。そして、入口の引き戸をガラガラと開けて入店。
寒い屋外から、あったかい店内に入り、眼鏡が一気に曇る。
曇った眼鏡越しに店内を観察すると、入口付近に小ぶりな卓上券売機が置かれているのを発見。まずはそちらでカツカレーの食券購入。
席は厨房を囲むL字カウンターのみ。10席くらいだろうか。その中ほどの席に着き、カウンター内に食券を渡す。
「大衆カレー」という店名から、ガサガサした感じのお店かと想像していたが、店内はスッキリシンプル。しかも、各カウンター席には、紙で包まれたスプーンが、計ったようにキリっと並べ置かれている。意外とキッチリした雰囲気だ。
時刻は13時頃で、いわゆる昼休みの時間帯を少し外した形。それでも客はコンスタントにポツポツとやってくる。
客の中には、マスターに「ここ開いていないことが多いですよね」と話しかけている人もいた。やっぱりこのお店は、不定休的な営業形態なのだろうか。
そんなことを考えているうちに、カツカレーが手元に到着。

おお、ネット上で見た写真の通りのカツカレーだ。テカテカ輝く船皿が食欲を掻き立てる。いよいよこいつを味わえるぞ。
卓上のつぼから福神漬けをたっぷりとごはんの上に投下し、いざ実食。
ルーは思ったよりサラサラした液状だ。しかし、かなり煮込んだ雰囲気がある。
食べてみると、ふお、想像以上にホットでスパイシー! 想像していたよりも、辛さがある。
食べると、寒さで縮こまっていた体に、舌から、胃から、熱波がいきわたる感じ。
そして、カツはサクサク食べれる薄いタイプ。最初から少しトンカツソースがかかっている。
厚みのあるカツとは違ったスナック感があり、これはこれでウマい。
ルーはプレーンかと思いきや、小ぶりな牛肉が入っている。
ルーのかかったごはん、牛肉、カツ、福神漬けを一気にほおばると、しあわせ感アップ。
ついついスプーンがすすみ、ハフハフいいながら、一気に平らげてしまった。
当初、「なかなか味わえない幻のカレー」として勝手に幻想を膨らませていたが、それに負けない、おいしいカレーであった。