前回の自転車記事で「部屋内で自転車をさわっていると、ある問題が発生した。翌日のライドに支障が出そうな状況に陥ったが、ホテルの計らいで無事切り抜けることができた」という一文を書いた。今回はその詳細について。
その日宿泊したのは「ホテルアストンプラザ姫路」。姫路の中心街から、南に遠く離れた飾磨の地に、ポツンと存在するビジネスホテル(以下 ビジホ)だ。
自分の母方のお墓が飾磨にあり、そちらを訪れる際に、このホテルの建物を目にしてはいた。しかし、これまで泊まろうと思ったことはなかった。
なにせ姫路市は自宅のある神戸から遠くはない。普通なら日帰りだ。
かつて泊りがけポタを目的に姫路に宿泊したことは何度かある。その際はいつも、株主優待券を保有する「ドーミーイン」という駅前のホテルチェーンを利用してきた。
ただ、今回「用事&墓参りついでに翌日姫路周辺をポタろう」と宿泊を考えた時、フトこのアストンプラザのことを思い出した。
ネットで調べてみると、宿泊費が驚くほど安いことが判明。朝食無しなら5千円未満、朝食バイキング付きでも5千円台。今時珍しい価格設定だ。
最近、インバウンドとやらで、全国の観光地の宿泊費がやたら高騰している。世界遺産のお城を擁する姫路の町も例外ではない。そのことを知っているだけに、このアストンプラザの安さは衝撃的であった。
飾磨は姫路の海寄りの地で、海岸沿いは工場やプラントなどが立ち並ぶ。観光客ではなく、そちらのビジネス重要を見込み、インバウンド価格とは無縁なのだろう。
ま、当方はお安く宿泊さえできればハッピー(ドーミーインの株主優待は別の機会用にとっておけばいいし)。姫路行きの1週間ほど前に、公式サイトからアストンプラザ姫路の部屋を予約した。
さて、宿泊当日のこと。
折りたたみ自転車カラクルを輪行で携え姫路に向かった。予定・用事はサクサクこなして、16時頃にはアストンプラザにチェックイン。
その際、館内の掲示で面白いサービスを見かけた。18時半から、食堂でごはんとみそ汁は無料で提供(食べ放題)、おかずを持ち込んで晩ご飯にしてね、という内容のものだ。
上記の「ドーミーイン」チェーンは、夜食として「夜鳴きそば(ミニラーメン)」を提供するので有名だ。ただ、アストンプラザの「晩飯用ごはん、みそ汁無料」はユニークだ。宿泊コストを抑えたい連泊ビジネス客には、うれしいサービスだろう。
ま、私はレジャー客なので、おいしい晩飯とビールを求め外に食べに行ったが。次の機会があれば、この無料サービス利用してみようかな~。
なお、価格は安かろうと、部屋はスッキリシンプル、必要にして十分なクオリティであった。アストンプラザ、コスパ良し。
さて、チェックインが早かった分、晩飯も早い時間に済ませた。その後、ベッドに寝転んで文庫本を読んだりしていたが、その合間に、なんとなく輪行袋内のカラクルをチェックする気になった。
すると、前輪タイヤの空気圧がやや低い事が判明。そういえば出発前日「タイヤの空気圧、一応見ておこうかな~」と一瞬思いつつも、その後すっかり忘れてしまっていた。
まあ、空気圧低めとはいえ、走行に支障はないレベルだ。しかし私はロード乗りでもあるので、空気がしっかり詰め込まれた、カッチリ固めのタイヤが好みだ。
小形ポンプは常時カラクルに取り付けてあるので、「どうせヒマだし~」と、明日のポタライドに向けて前輪の空気を充填しようと考えた。
これが間違いの元であった。
通称「お助けチューブ(異なる形式のバルブを連結できる短いホース)」を使い、米式のポンプと、仏式のタイヤをつないで、空気を入れ始めた。
その最中、ポンプとチューブのネジ連結部分がポンと外れてしまった。
最初は特に気にもせず、もう一度つなぎなおしてポンピングを再開したが、やはりポンプとチューブがポロっと外れてしまう。
これまで何度も同じ形で、ロードでの出先でパンク対応をしていたので楽勝と思っていたが・・これはどうしたことか。
原因を追究すべくよくよく見ると、カラクルのホイールは20インチと小さく、それが原因でロード用700Cと異なりバルブ-チューブ-ポンプを真っすぐつなぐことができないことが判明。どうしてもちょっとねじ曲がった形で連結することになる。

このゆがみにより、ホースとポンプのネジ接続がキッチリはまらず、外れてしまうようだ。
もう一度つなぎ直したものの、やはりポンピングすると、簡単に外れてしまう。
いまやタイヤの空気は抜けきり、ペシャンコだ。
ややっ。この状態だと、朝から自転車で出発できないじゃないか。
ちょっと焦りつつ、慎重に再度連結。しかし、物事は焦れば焦るほどうまくいかないもの。やはりすぐに連結は外れてしまう。
何かも連結→外れるを繰り返すうちに、とうとうネジ連結部がしっかり止まらくなってしまった。いわゆる「ネジがバカ」になってしまった状態だ。
こうなると、もう駄目だ。あちゃ~、しまったな~。余計なことしなけりゃ良かった。
後悔しても後の祭り。あわててホテル周囲の自転車店をスマホ地図で探す。しかし町中から離れた場所ゆえ、自転車店がそばにあるはずもない。最寄の駅近く、徒歩16~20分圏内に3軒ほど自転車店は見つかった。しかし、明日朝にそちらに寄るとすれば、お店の開店まで出発を後らせないといけない。
そもそも、輪行袋入りの自転車を担いで(もしくは前輪を浮かせた状態を維持しつつ手押しで)、20分近くも歩かなきゃいけないのかよ。うわ~~~勘弁してよ~~(涙目)。
頭を抱えてベッドに倒れこんだ時、フトある考えが頭をよぎった。
このホテルに空気入れは無いのか、と。
このホテルは町中からも、最寄の鉄道駅からも離れている。さすれば、スタッフは自転車通勤の人も多かろう。空気入れくらい常備しているかも。
ダメ元で聞いてみる価値はある。明日、朝食の際にフロントに尋ねてみよう。そう考えて、その日は床に就いた。
翌朝、6時半の朝食開始に合わせて、食堂に向かう。バイキング形式というにはあまりにもささやかな品数であったが、なにせ一泊5千円ちょい。文句を言ってはいけない。文句を言うどころか、白米主体と、パン主体、2回分朝食を食べた。今日のポタに備えて、エネルギー補給しておかないと。
さて、気になっている空気入れの件だ。朝食を終え、フロントに「つかぬことを伺いますが・・」と空気入れの有無を尋ねた。すると、なんとフロントスタッフは、あっさり「ああ、ありますよ」。すぐに年季の入ったスタンド式の空気入れを持ってきてくれた。聞いてみるもんだね~。
その空気入れは米式+ヒラメで英式のバルブに対応であったが、手持ちのお助けチューブを使い、対応できた(空気入れ側はねじ式ではなく、カチッと咬みこむ方式だったので、チューブは問題なく接続できた)。
タイヤは空気を腹いっぱい吸い込み、パンパンのカッチカチ。
これで気持ちよく今日のポタライドに望めるぞ。
空気入れをすぐさま用意してくれたアストンプラザ姫路に感謝しつつ、朝8時半チェックアウト。ホテルの前のスペースでカラクルを輪行解除し、冬の播州ライドに、いざ出発。

そして、ペダルを踏みつつ、二つのことについて考えた。
一つは「携帯ポンプ新調しなくちゃな~」ということ。今回持ってきた携帯ポンプは、もう接続ネジ部分が怪しい。最近はお助けチューブ内蔵、ワンタッチでバルブに取り付けられる携帯ポンプがあるという。前から気になっていたが、それを買うか。使ったらブログでレビューしよう。
もう一つは「ビジホチェーンて、いろいろ個性があるんだな」ということ。これまで株主優待が使えるホテルを中心に宿泊してきた。しかし、いろんなチェーンに宿泊し、それぞれが工夫したサービスを見比べるのも面白そうだ。これも、今後宿泊の機会があり次第、ブログで紹介しよう。
今後のブログのネタが、二つも見つかった。よかよか。