五月晴れの昼下がり、最近購入した折りたたみ自転車に乗ってポタリング。
だいぶハラが減ってきた。どこかでランチ休憩を取ろう。
しかし、その時走っているのは神戸電鉄(神鉄)粟生線の沿線。緑ヶ丘から押部谷を通過し、栄駅に差し掛かったあたり。
このあたりの神鉄沿線付近は、田園地帯色が強い。
ちょい南の木見川を越えたら住宅街が広がるのに、なぜか鉄道近くは昔ながらの風景を頑なに守っている。不思議な住み分け。
当然お店も多くはない。神鉄と並行して走る県道わきに、ポツリポツリと存在する程度。コンビニすらほとんど見かけない。
そんな場所で、14時過ぎに営業している飲食店があるだろうか。
そんなことを考えつつペダルを踏んでいると、目の前に「ランチ」「お食事」と書かれたノボリを多数設置したお店が現れた。
このお店を逃してはならぬ。店前に広がる駐車スペースにピットイン。
そして、お店の方に目を向けると、そこには全面黒板張り、三角屋根ファサードのイカツイ建物があった。
どえらくシック、渋い印象のお店だな。
小さめの窓には内側からロールカーテンが下ろされ、中をうかがい知ることができない。
正直、やや近づきがたい印象を受ける。
しかし、ドアの横にはおすすめと思しきメニュー看板がいくつか設置されており、その中に「エビカレー カツカレー」の文字がある。
おお!カレーあるじゃないの。
そうなると、近づきがたいとか言っている場合ではない。真っ黒な建物の脇に、オレンジ色の我が自転車を駐輪。そして入口に向かう。
入口横の店名看板をよく見ると「Jazz & Coffe」とある。
そして、その付近にはジャズライブのお知らせがいくつか掲示されている。どうやら、ライブカフェ&バーのようだ。
ほえ~、神戸都心から遠く離れた田園地帯に、ライブバーがあるとは。そのことに驚く。
さて、ドアを押して中に入ると、長いカウンターが目に入った。さらに4人掛けのテーブル席もいくつかある。
ランチには遅い時間、お店は空いていたので、テーブル席に腰掛ける。
そして、日替わりのサービスメニューとして推している「竜田揚げカレー」、さらにアイスコーヒーも注文。
まず、アイスコーヒーがやってきた。
ライド中のアイスコーヒーはうまい。まちがいない。アイスコーヒーを飲みつつ、カレーを待つ。
次いでやってきたカレーがこちら。
一目見て、普通のカレーではないことがわかった。
カレーソースの色が、明るく、赤っぽい。
食べてみると、まるでパスタのボロネーゼを思わせる味わい。さらにクリームチーズのうま味も強い。
うまい。うまいぞ。
うまいが、しかし、これはカレーなのか。
そんな疑問が頭に浮かんだ刹那、ほどよくスパイスの風味が重なってきた。
ふ~む、たしかにカレーだわ。
「欧風カレー」の欧色を強めた、一種の洋食と言えそうなカレー。
まったり濃厚なソースは、サックリアツアツの竜田揚げチキンによく合う。
1~2歩横にそれると、もはやカレーではない料理になるような気がする。
正直、当初は「音楽主体のお店のランチ営業だし、ごくごく一般的なカレーが出てくるだろうな~」と想像していた。
それだけに、このエッジの効いた一皿は想定外。
カレーのユニークさが強く印象に残った。
飲食店が少ない場所に、こんなに個性的でおいしいカレーが潜んでいようとは。
いやはや、わからんもんだ。
このカレーに出会えただけで、この日のポタは大成功であった。