ネットのローカルニュースで、板宿に新たなカレー店ができたとの情報をキャッチし、冬休み初日に訪ねてみた。
ところが、目当てのカレー店はすでに年内の営業終了のようで、扉は固く閉ざされていた。
まあ、年末だしね。ある程度予想はしていた。年明けに出直そう。
気持ち的には、あっさりあきらめ、お店を後にした。
ところが、胃袋が「カレー食べたい」モードになっており、おさまりが付かない状態となってしまった。
どこかにカレーはないかと板宿商店街あたりをぶらついていると、ちょうどよいことに「カレーうどん」のノボリが目に留まった。
これは今年最後の、カレー神の導きに違いない。
というわけで、そのノボリの立っていたうどん店「和心鶴々」に入店。
店内は結構広く、二人掛けや四人掛けのテーブルが10台以上は置かれている。
さらに、一人客用に、ホールの真ん中に大テーブルが置かれている。
時刻は13時過ぎながら、多くの席が埋まっている。さらには、次々と客が入ってくる。地元の人気店のようだ。
案内された大テーブルの一席につき、メニューを眺める。
「すじ肉カレーうどん」「海老カレーうどん」、さらには「とんかつカレーうどん」といった文字が見える。ノボリでアピールするだけあり、カレーに相当力を入れている様子がうかがえる。
しかし、初来店で、そういう応用編に挑むのは恐れ多い。そう考え、シンプルな「カレーうどん」を注文。
これが今年食す最後のカレーうどんになるであろう・・そんなことを考えながら、待つことしばし。
紙エプロンを伴って、褐色の一杯がやってきた。
さてさて・・と、箸でうどんをつつきにかかる。
そしてうどんを持ち上げようとして、ちょっと驚く。
重い。
想像以上の力でうどんをどんぶりから引きずりださねばならない。
いや、別にうどんが太くて重いわけではない。カレーつゆが絡みまくっているのだ。
世のカレーうどんは、つゆがさらさら気味のものもあれば、逆にねっとりしているものもある。こちらのカレーうどんは後者の最右翼といったところだ。
このカレーつゆ、とにかく濃い。その分、粘度が高い。
とろみが強いと、熱が逃げず、アツアツだ。
当初、なぜ取り皿が付いてきたのかと思ったが、重量と熱さゆえ、いったん取りおいて冷ます必要がある。
表面に彩を添える細ネギに加えて、つゆの中には、薄く刻まれた玉ねぎがたっぷり。
私は常日頃「ネギこそカレーうどんの隠れた主役」と考えているので、これはうれしい展開だ。
もちろん、豚肉も合間に存在をしっかり主張する。
フーフー言いながら食べているうちに、つゆの表面にはうっすら膜が形成されてきた。すんげぇ、濃い。
でも、この濃さは、うまい。
結局、つゆまで完食。
今年のカレーうどんをしめくくるにふさわしい一杯であった。