久々の自転車旅行。
旅先で、青空のもと、折りたたみ小径車で山を登る。
季節的には晩秋のはずだが、暑い。
ふもとで重ね着を減らして正解だったな・・そんなことを考えながら、ゆるゆるマイペースでペダルを踏み続ける。
そこは粟ヶ岳。掛川の北部に位置する。
標高は500m以上ある。
ヘアピンカーブがつなぐジグザクのダラ坂をひたすら上る。
なかなか終わりが見えない。ふうふう。
そろそろ勘弁してくれよ・・と思った時に、坂の先がパッと開けて、山頂の電波塔が青空に突き立っているのが見えた。
ふおおぉ~、ゴールはすぐそこだ。
ここまでずっとサドルにすわって自転車を漕いできたが、山頂施設へは短い急坂があり、そこだけ立ち漕ぎで乗り切る。
ほいや~、登り切った~~。
山頂はちょっとした広場があり、展望台と思しき施設がある。
そちらに向かうと、位置口付近に「OPEN」と書かれた立て看板がひっそりと置かれている。
どうやら展望台の1階には、開放的なテラスカフェがあるようだ。
立て看板のメニューを見ると、カレーもあるじゃないか。ちょうどお昼時、ここでランチとしよう。
カレーは2種類あり、「あわんたけビーフカレー」と「あわんたけ黒カレー」の2種類。前者は辛口の表記がある(おそらく粟ヶ岳は、地元では「あわんたけ」と呼称されているのであろう)。
坂を登って体内のエネルギーとともに、気力も枯渇。ここはスパイシーなカレーでガツンと気合を入れて、本日午後のライドに備えたい。
そう考えて、ビーフカレーの方を注文。喉もカラカラだったので、何も考えず、いつものようにアイスコーヒーも併せて注文。
窓口で注文し、でき上ったら番号で呼ばれて料理を受け取るフードコート方式。
さて、待ち時間に席を確保しよう。
山の斜面に臨むテラスの端は、とても見晴らしがよい。そこには長ベンチのようなものが設置されている。しかし、その板面には「テーブル」の表記がある。
どうやら、テラスの床に座って、その「テーブル」に料理を置くと、大パノラマの景色を楽しみながら、食事を取れるという趣旨なのだろう。
その趣向に従い、床に腰掛け、眼下に広がる茶畑と青空を眺めながら番号が呼ばれるのをゆるゆる待つ。
テラス内を見回すと、平日なのに、そこそこの人出。休日にはかなり混みあうのだろうな・・そんなことを想像していると番号を呼ばれた。カレーを受け取る。
おしゃれな変形皿に盛られたカレー、そしてさらには色鮮やかなサラダが一緒に盛られている。
なかなかに華やかさのある一皿だ。
さて、まずはカレーを一口。
ほむっ! そこそこ辛いぞ。
辛口を謳いつつも、それほど辛くないカレーは世に多い。ファミリー層も訪れる観光施設だし、言うほど辛い物は出てこないだろうと高を括っていたが、意表をつかれた。
もちろん激辛というほどではない。しかし、しっかり辛口テイストのカレーだ。
ヘタった体がスパイシーな刺激を望んでいたので、これは良い方向に裏切られた。
サラダを時折一緒にほおばりつつ、ほふほふ食べる。
甘味のあるドレッシング、みずみずしいトマト、やさしい味のポテサラが、ピリッとしたカレーといい塩梅。
ちなみにサフランぽいライスは、クチナシで炊き上げているらしい。
ゆっくり味わいながら食べる。
それにしても、ヒルクライム後のカレーって、本当においしい。
今回は、山に登ってその場でカレー、しかも景色を楽しみつつ。
旅の思い出として、しっかりと記憶にとどめられた一皿となった。
(おまけ)
山を下り、付近の高台から、先ほどまで居た粟ヶ岳山頂を仰ぎ見る。そこには「茶」の文字が浮かび上がっていた。
粟ヶ岳は茶どころ掛川のランドマーク。
カレーと一緒に、何も考えず、普段通りアイスコーヒーを注文してしまったが、ここはお茶を注文すべきだったのではないか?
ほんと気が回らない人間だな~、私。