自転車で明石公園のそばを走り抜けることはよくあるのだが、この日はたまたま歩きで通りがかった。
そういえば、明石公園の中って、長らく足を踏み入れていない。前回訪れた記憶がないほどだ。
そこで、この機会に、久々に明石公園内を歩いてみることにした。
県立の公園だけあって、さすがに規模がデカい。
「姫路城より広い」と謳う明石城の城跡をメインに、野球場や陸上競技場、県立図書館、ボートに乗れる池などもあり、あらためてそのスケールの大きさに驚く。
ブラブラ歩いていると、だんだん腹が減ってきた。
時計を見ると13時ごろ。どこかで昼飯を食べるとするか。
すると、ちょうど良いことに目の前に、喫茶店が現れた。
表に出しているメニューを見ると、カレーもあるようだ。よし、ここにしよう。
店内に入ると、そこそこテーブルが埋まっている。そして、客の風体が全般的におかしい。
どうやら、付近でコスプレ系のイベントが催されており、そこの参加者が流れてきている模様。
むさいおっさん(私)は、なんだか少々肩身が狭い気持ちになりつつ、コソッと窓際の小さなテーブル席に着く。
そして、ビーフカレーとアイスコーヒーのセットメニューを注文。
お店は、カウンター内で調理するおばちゃんと、ホール担当のおばあちゃんの二人で切り盛りされている模様。
イベントの影響で普段よりも客が多いのであろう、おばあちゃんは配膳に大忙し。これは料理が出てくるまで、結構時間がかかりそうだ。
そこで、窓の風景をつらつら眺めつつ、気長に待つ。
お店のすぐそばにはシンボルツリーというには存在感ありすぎの大樹が聳え立つ。
その周囲にも植栽がふんだん。様々な種類の草花が活けられ、なんだかミニ植物園のようになっている。
気になってGoogleMapでお店を調べると、「緑の相談所」という公共施設の一画のようだ。周囲の緑の多さにナットク。
印象的な景色に気を取られ、カレーを待っていることをやや忘れかけていると、不意にカレーがポンと到着。
ほほう、カフェ飯らしく、深さのあるおしゃれな白い船皿だ。
カレーの色つやも、明るい感じ。
ライスというよりも「ごはん」といったほうがしっくりくる、ぽってり白飯にルーを乗っけて一口。
カレーは欧風テイストだが、けっこうあっさり目、くせのない味。
まさに、昔ながらの喫茶店の、軽食カレーライスといった感じ。
最近の凝ったスパイスカレーとは、ある意味対極にある、シンプルなカレー。
そして、なんだか、ちょっと懐かしい味。
にぎやかなコスプレ客をよそに、おっさんは窓外の緑あふれる風景を眺めながら、ゆっくりカレーを食べる。
周囲の景色というのも、立派にカレーの味わいの内だな・・そんなことを考えながら。