あれは数か月前のことであった。
ひいこら登り切った後は、近辺の高台の住宅地をユルユル流す。あまりなじみのないエリアだ。景色が新鮮。
道なりに車輪を進めていると、唐突にちょっとした沿道の商店街に出くわした。
へ~、鉄道駅から離れた丘の上に、こんな商店街があったんだ。
商店街の町なみを眺めながら進んでいると、その中にスパイスカレー店を発見。
ちょうどお昼時だし、いいタイミングだ。これは寄って食べていくべし。一旦停止、歩道押し歩きに移行してお店へと向かう。
しかし、困ったことに、付近にロードを安心して駐輪できるような場所がない(お店の前の歩道は幅員が狭く邪魔になりそう)。
駐輪スペースを求めて付近をウロウロしたものの、見つからず。その時はあきらめ、後ろ髪惹かれつつカレー店を後にした。
・・さて、それから月日は流れ、先週末のこと。
たまたま垂水の町に用事ができた。
そして、ちょうどいい具合に、正午前に用事を終えることができた。
前述のカレー店のことを思い出し、以前ロードで登った坂を、今度は歩いて登る。
このあたりの坂はパンチが効いており、結構きついぞ。9月上旬のまだまだ真夏仕様の日差しにジリジリ焼かれつつ、ホテホテと歩を進める。
そしてようやく、以前出くわした商店街に到着。ただ、日曜日は閉まっているお店も多いようだ。
カレー店が営業していることを祈りつつ、商店街の歩道を進むと、カーブの先に見えたお店は、しっかり営業中であった。よしよし、苦労して坂を登ったかいがあった。
お店に入り、カウンター席の一番奥に座を占める。
卓上表示にある「今週のスパイスカレー」3種類の内から、ベジタブルカレーを選ぶ(他はチキンカレー、麻婆豆腐カレー)。
サラダとドリンク付きのセットで注文。ルーの大盛が無料とかで、お願いする。
待つことしばし、やってきたカレーがこちら。
食べてみると、まったり甘口。
スパイシーな要素を感じさせるが、それは辛味ではなく、ふんわりと薬味的な味わい。甘さをバランスよく、少しだけ引き締めている。
そして、トロトロとクリーミーな味わいがすばらしい。
ルーだけでも、やや辛口のシチューとして一品料理足りうるクオリティ。
しっかりと煮込まれたなす、にんじん、ビーンズをはじめとする野菜が、ルーのうまみと相まって、さまざま食感・風味を醸し出す。
ことさら和風を前面に出すわけではないが、このやさしいうまみ、奥底に和食に通ずるエッセンスを感じる。
途中、卓上に置かれたピンクペッパーを少し追加してキリっと味変。これいはこれでウマい。
気が付いたら、あっというまにペロリと完食していた。
きつい坂を登ったご褒美として余りあるおいしさであった。