昔、武庫之荘に住んでいたことがある。
梅田まで阪急電鉄でわずか6駅と交通至便。各停駅とはいえ、乗降客は相当多い。
その割には、駅周辺に大きな商業施設や商店街等もなく、パチンコ店などの派手ハデしい建物も皆無。
かといって、ことさら高級ぶった感じでもない。
そんなナチュラルに落ち着いた雰囲気がとても気に入って、何年も住んでいた。
しかし、自分がなじみのあるのは、当時住んでいた駅の南側。
北側は駅周辺以外、ほとんど足を運んだことがない。
そこで、武庫之荘に用事ができた際、北側をぐるっと歩いてみることにした。
碁盤の目状にスッキリと街が構成されている南側と異なり、北側は町中を水路が走り、それに沿って街が形作られたせいか、道路が入り組んでいる。
歩いていると、知らぬ間に、さきほど居た場所に戻ってきてしまったりする。よそ者には少々ハードルが高いタイプの街だな。
そんな町なみを楽しみつつ、ブラブラ歩いていると、キーマカレーの立て看板を見つけた。
一見してカレー店とは見えない外観のお店だ。
どうやら夜はクラフトビールをウリとしたバーで、昼間はカレー店という業態のようだ。
ちょうどお昼時であったので、迷うことなく、開け放たれたお店のドアをくぐる。
奥に長い店内は、カウンターテーブルと、その反対側に壁付けテーブルという店内構成。
店内はまさにバーの雰囲気で、カウンター内にはお酒の瓶が多数並んでいる。
壁付けテーブルの隅っこに座り、まずはメニューをチェック。
メニューの最下段で異彩を放つ「オールスター!全部のせカレー」なるあらくれメニューが気になるが、最近太り気味に加えて、健康診断を間近に控えているので、思いとどまる。
筆頭メニューの「定番 チキンキーマカレー」にしておこう(しかし、大盛を頼んでしまう)。
バーらしく、大きなグラスに氷たっぷりででてきたお冷をチビチビ飲みつつ、待つことしばし。
やってきたキーマカレーがこちら
オレンジがかったルーが特徴の、全体的に明るい印象のカレーだ。
そしてルーが、みるからに肉々しい。
こいつは食べ出がありそうだ。
食べてみると、一口目からひき肉がぐいぐい来る。
おちついた味わいとあいまって、ミートソース的な雰囲気。
半ばまで食べたところで、先ほどから気になっていた、テーブル上にある液体の辛味スパイスを少々振りかける。
すると、一気にスパイシーなキーマに味変。
大盛で注文して正解。二つの味を、たっぷり堪能できた。